【沖縄の軍用地投資分析】④返還後の再開発が計画されているエリア(浦添西海岸・西普天間・牧港補給地区:キャンプキンザー)の最新動向について
- 輿石竜馬
- 30 分前
- 読了時間: 6分
これまでのシリーズでは、現役の軍用地であるキャンプレスター、嘉手納飛行場、那覇軍港・空港用地を取り上げてきましたが、今回は少し視点を変えて、「返還後の土地」がどのように活用され、再開発されているのかに注目してみたいと思います。
沖縄における軍用地投資は、返還前の地料収入を目的とするインカム投資だけでなく、返還後の再開発による地価上昇を見越したキャピタルゲイン型の戦略も分析されるようになっています。中でも現在注目されているのが、浦添市西海岸エリア、西普天間住宅地区、牧港補給地区(キャンプキンザー)です。
これらのエリアでは、すでに返還が行われた土地もあれば、段階的に返還・再開発が進められているエリアもあり、今まさに変化の過渡期にあります。今回はそれぞれの再開発の状況、投資家の視点から見たポテンシャル、今後の課題について整理していきます。
■ 浦添市西海岸:那覇軍港の移設先として注目度急上昇
浦添市西海岸は、2020年代に入ってから特に注目度が高まっているエリアの一つです。その最大の理由は、前回の記事で開設した「那覇軍港」の移設先として埋め立て・整備が進められているためです。
移設後は、軍港とともに背後地としての物流・商業・観光拠点が整備される見通しであり、民間企業や地元自治体による開発計画が検討されています。2024年には工事も本格化し、2025年以降にはインフラの整備が加速する予定です。
投資家視点の注目ポイント:
• 那覇と隣接する浦添の一等地にあること
• サンエー浦添西海岸PARCO CITYとの連携で商業地としてのポテンシャルが高い
• 海沿いのウォーターフロント再開発としての観光・高級住宅エリア化の期待
現時点ではまだ土地の一部が埋め立てされることが決定している段階ですが、完成後の利便性や景観の良さに注目している投資家も多く、周辺の土地に注目する動きが強まっています。
■ 西普天間住宅地区:再開発のモデルケースとしての進展
次に取り上げるのが、「西普天間住宅地区」。2015年に返還された宜野湾市のこのエリアは、かつては米軍住宅が広がっていた場所で、現在は沖縄県主導での再開発計画が着実に進んでいます。
琉球大学医学部及び大学病院が2025年にそれぞれ開院・開学し、周辺の道路整備も進んでいます。医療拠点としての機能整備が進むほか、教育・研究施設の誘致、住宅街区や公園の整備も計画されていることから注目が集まっています。
特徴的な再開発の方向性:
• 医療・教育都市機能の整備(医療ツーリズムなども視野)
• 返還跡地の中でも、すでに公的機関の投資が入っている状況にある
• 周辺の地価も上昇傾向にあり、将来的な住環境の整備に期待が集まる
投資家が注目すべき点:
• すでに返還済みであり、不確定要素が少ない
• 公的期間による開発が主導されていることから安心度が高い状況下にある
• 医療系・教育系テナントニーズの増加により安定収益物件としての期待
再開発が進んだ後には、ますます地価が高騰していくことが見込まれるため、「今のうちに周辺エリアをおさえて購入しておく」という法人・富裕層の動きが出てきています。
■ 牧港補給地区(キャンプキンザー):段階的返還と都市型再開発の可能性
那覇市・浦添市の境界に位置する「牧港補給地区(キャンプキンザー)」も、今後の返還計画と再開発が期待されているエリアの一つです。この地区は、米軍の物資補給・倉庫機能を担っている施設ですが、近年は使用範囲が限定的になってきており、将来的な返還候補地として長年注目されていました。
現在は部分的に返還と開発が進められていますが、立地的には那覇新都心に隣接してることから、将来的には商業・物流・住宅のハブ拠点になる可能性を秘めています。

開発計画の特徴:
• 将来的には那覇新都心エリアと連携した都市開発が可能
• 周辺には大型店舗やオフィスビルが展開されている環境
• 地元自治体との調整により段階的に返還されていく期待性
投資家の関心:
• 現時点では返還時期が不確定であるものの、地価上昇への期待値は非常に高い
• 一部エリアでは商業地としての利用が見込まれ、店舗開発や土地転用が見込める
• 相続対策や中長期的保有戦略として有力な選択肢となり得る
不確定要素も多いため、慎重な見極めが必要ですが、「ポスト返還エリア」の最有力候補として、軍用地投資の中でもキャピタルゲインの第一線と見ている投資家も少なくありません。
■ 返還後再開発エリアに投資する際の注意点
返還後の土地活用には夢が広がりますが、同時にいくつかのリスクや注意点も存在します。
① 開発スケジュールの遅延リスク
特に牧港補給地区など、返還が段階的に進んでいるエリアでは、実際の開発がいつ始まるのかが不透明であるため、思ったよりも資産が“寝かされる”可能性が懸念されています。
② 土地利用の制限
返還後も、旧軍用地という特殊性から、土壌汚染・利用制限・用途指定などの問題が発生することもあります。これは購入前に対象地の位置関係における入念な調査と専門家の意見を聞いておく必要があります。
③ 地元住民・自治体との調和
再開発の規模が大きくなると、地域コミュニティとのバランスが重要になってきます。スムーズな再開発を進めるには、行政や地元自治体との連携が不可欠となります。
■ 返還後エリアは「未来に仕込む資産」
今回取り上げた浦添・西普天間・牧港補給地区(キャンプキンザー)はいずれも、今後の沖縄を大きく左右する可能性を秘めた、極めて重要な土地です。返還済の西普天間はすでに未来像が見えつつありますが、浦添や牧港のように、これから動き出していく段階にある土地も、投資家の目には“次の主役候補”として映っています。
短期的なリターンよりも、中長期的な視野に立ち、「返還後にどう活かされる見込みか」「その場所にどんな未来が描かれるか」を考えながら投資することが、これからの軍用地投資における鍵になることでしょう。
実際に現地を確認することができない軍用地投資の選球眼を持つことは非常に難しいことですが、返還が予定されている土地の場合は、行政が公表する再開発や都市計画マスタープランの最新情報に常にアンテナを張っておくことにより、先行投資で大きなリターンを得られる可能性を秘めています。
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