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【沖縄の軍用地投資分析】⑤返還が未定の軍用地の中でも根強い人気を誇るキャンプハンセンとホワイトビーチについて

  • 輿石竜馬
  • 6 時間前
  • 読了時間: 5分

 沖縄の軍用地投資市場において、「返還予定地」は再開発による地価上昇の期待から高い注目を集めていますが、返還予定が明確に示されていない軍用地も、一定の投資家層からは「安定収入源」としての信頼を獲得しており、根強い人気を維持しています。


 その代表格とも言えるのが、「キャンプハンセン(金武町)」と「ホワイトビーチ(うるま市)」です。どちらも広大な面積と重要な軍事機能を持ち、返還時期が不透明であるにも関わらず、地代収入を中心とした堅実なインカムゲインを求める投資家たちから支持されているため、沖縄の軍用地投資を語る上で外すことのできない存在といえます。


 本稿では、この2つの軍用地の投資価値、地域との関係性、今後の展望について掘り下げていきます。




■ キャンプハンセン:米海兵隊の訓練拠点としての安定感



 沖縄本島中北部、東海岸側に広がるキャンプハンセンは、金武町を中心とする広大な面積を有し、米海兵隊の主要な訓練施設として機能しています。山林地帯に設けられた広範な演習場を含み、銃撃訓練や各種戦闘訓練に使われていることから、日米同盟の抑止力維持において、極めて重要な役割を果たしています。



■ 返還予定がないにもかかわらず、なぜ人気があるのか?



 キャンプハンセンの最大の魅力は、軍用地の中では比較的倍率が低い(利回りが高い)ことと、返還予定がないからこその安定性にあります。米軍の駐留が継続する限り、地代は国から確実に支払われるため、投資家にとっては「国が借主となっている」という信頼感がある資産です。


 とりわけ近年は、株式市場の不安定さや海外情勢の緊張感の高まりから、ボラティリティの低い実物資産への資金流入が目立っており、軍用地はその中でも特に人気の高いジャンルです。キャンプハンセンはこのトレンドの中でも「安定収入型資産」としての代表的存在となっており、同じく返還予定のない嘉手納飛行場(倍率相場:52~60倍)などと比較すると、キャンプハンセンは42~50倍の倍率で購入することができるため、投資額に対する年間回収率が高くなる傾向にあります。




■ ホワイトビーチ:返還とは無縁の“海の拠点”としての軍用地



 うるま市の東端にあるホワイトビーチは、アメリカ海軍が使用する港湾施設であり、艦船の寄港・補給拠点として長年使用されてきました。その戦略的位置づけから、返還の予定が立っていない軍用地の中でも特に「返還の可能性が極めて低い」施設として知られています。


ホワイトビーチに停泊する巨大軍艦

■ 海軍施設ゆえの特異性



 ホワイトビーチの最大の特徴は、沖縄本島における海上作戦の要という点です。米軍だけでなく自衛隊との共同使用も進められており、地政学的な重要性が年々高まっています。


 また、周囲は住宅地から一定の距離があり、訓練に対する地域住民からの反発も比較的少ないため、政治的な摩擦が少なく、継続利用されやすい環境となっています。


 ホワイトビーチに寄港することのある最新鋭の強襲揚陸艦「トリポリ」や「アメリカ」には熱烈なファンも多く、毎年4月に開催される「ホワイトビーチフェスティバル」では大型の戦艦に搭乗することもできるため、多くの日本人が訪問する人気イベントとなっています。


 軍用地としては、土地面積が100坪を超える広さを持つ大型の物件も多いことから、まとめて所有しやすい土地としても魅力があります。




■ 投資家心理と市場動向:なぜ“返還されない”土地に再注目?



 近年の株価上昇局面では、資金が軍用地投資から株式市場に流れた時期もありました。しかし2024年後半以降、アメリカ政局の混乱や株価のボラティリティ増加に伴い、「守りの資産」に再び資金が戻ってきています。


 特に、トランプ前大統領の再登場により政治リスクが意識される中で、国が賃料を保証し、景気にほとんど左右されない「超安定資産」としての軍用地は、その希少性と安心感を再評価されています。


• 投資家の中長期的な「守りの投資」志向が強まっている

• 相続税対策や法人の資産保全において、軍用地が活用されている

• 返還リスクがない土地への長期保有需要が高まっている



 キャンプハンセンやホワイトビーチのような「地味ながらも確実性の高い投資先」が、こうしたマクロ経済の波を背景に人気を取り戻しているのです。




■ まとめ:安定性こそ、沖縄の軍用地投資の最大の武器



 軍用地投資は「再開発による高騰益」が注目されがちですが、今回取り上げたキャンプハンセンやホワイトビーチのように、返還が見込まれないがゆえの「確実性」を評価して投資するスタンスも極めて堅実です。


• キャンプ・ハンセン:安定地代+利回り良好な中部の訓練拠点

• ホワイトビーチ:返還無縁の海軍港湾施設、節税資産としても優秀



 いずれも、長期保有を前提とした「安定収益型資産」として、個人・法人問わず注目されている存在です。投資ポートフォリオの中に一部「動かない資産」を組み込むことで、全体のリスクヘッジにもつながります。


 次回は、返還済みの土地が実際にどのような再開発を経て投資家にリターンをもたらしているのか、具体的な事例を通じて分析していきます。









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