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沖縄で人気の「外人住宅(米賃)」投資の概要と売買時の注意点について

 この記事では、沖縄で人気の高い有効活用手法のひとつであり、投資先としても有名な「外人住宅(米賃)」についての概要と、物件に求められる条件やメリット・デメリットについて解説いたします。


 また、外人住宅(米賃)を売買する際の注意点についても触れていますので、外人住宅投資にご興味のある方はぜひご一読ください。


アメリカの住宅

①    外人住宅(米賃)投資とは・・・


 以前も軍用地関連の記事(軍用地の特徴と売却や購入時の注意点について)に記載しましたが、沖縄には非常に多くの在日米軍施設が存在しています。


 沖縄県は、総務省の統計による「都道府県別在日アメリカ人比率」において、国際都市の筆頭である東京都を抑えて全国1位であることはよく知られていますが、実はこの統計には在日米軍関係者やその家族の人数はカウントされていません。


 近年は正確な在日米軍関係者の人数自体が一般公表されていませんが、過去の数値から推察すると、現在も約4~5万人の米軍関係者が沖縄で生活していることが想定され、これは沖縄県全体の人口の約3%に及びます。

 

 これに加えて、沖縄県で最も人口が集中している那覇市のある「本島南部エリア」には米軍関連施設がほとんど存在しないことから、「沖縄中北部エリアにおける在日米軍関係者比率」は3%を遥かに上回るものと考えられます。実際に、アメリカ人から特に人気の高い北谷町などでは、歩いている人の半分近くがアメリカ人という光景を目にする機会も多いです。

 

 このような背景から、沖縄県本島中北部エリア(主に中部エリア)において、「アメリカ軍関係者向け住宅」の需要が恒常的に存在していることから、同時に、軍関係者に入居してもらうことを目的とした外人住宅(米賃)を提供するオーナーの存在も必要になってきます。


 この外人住宅(米賃)の大きな特徴のひとつとして、米軍人に対する家賃補助の金額が、日本では考えられないほど高水準であることが挙げられます。この家賃補助については、一部では日本の「思いやり予算」から捻出されていると誤解されている傾向がありますが、実際には米軍が負担しています。

 補助額は、階級が低い軍人でも月額15万円~となっており、高い階級になると月額30万~50万程の補助が出るケースもあります。これだけの家賃補助が出る入居者は、オーナー側からしてみれば「超優良顧客」であり、日本人に貸すよりも高額な賃料を受け取ることができる裏技的不動産投資術とも考えられるため、過去に外人住宅投資(米賃)ブームが巻き起こり、その名が全国に広まった背景があります。


 ここまでの話を聞くと、全ての賃貸住宅を米軍人に賃貸した方が良いのではと考えてしまいますが、そんなに旨い話はありません。実際に外人住宅(米賃)として運用できる物件は限定されていて、いくつかの条件を満たしている必要があります。



②    外人住宅(米賃)に求められる住宅の条件について


 外人住宅(米賃)の運用を検討するにあたって一番の関門となるのが「軍検」です。軍検とは、米軍施設内にある「軍人への家賃支給などを統括する組織(ベースハウジング)」が行う住宅性能検査のことで、この軍検に合格しない限り、外人住宅として賃貸することはできません。


 軍検を通過する条件として、まず一つには、前述の通り「立地要件」が求められます。米軍基地がほとんど存在しない南部エリアでは「基地からの距離が遠すぎる」という理由で検査が通りませんし、そもそも軍検自体を断られてしまうこともあります。


 エリアが問題ないということになれば、次は「住宅スペック」を細かくチェックされます。細かい要件をここで記述することは避けますが、例として下記のような項目があり、大枠で認識しておくべきこととしては、アメリカ人の生活様式に沿った住宅であるかという観点と、生活の安全性が確保されているかという観点になります。


【軍検でチェックされる項目】※一例

 ・住宅の広さが十分であること(最低51.15㎡~)

 ・一定の耐震基準を満たした住宅であること

 ・オーナー名で所有権の登記がされていること

 ・住宅に名前を付けて現地に表札を掲げていること

 ・家具家電を準備しておくこと(米軍で貸出対象の場合は不要)

 ・居室、バス、トイレの数が基準を満たしていること

 ・その他、軍検基準で必要となる住宅設備を備えていること

  ※例)手すり、煙探知機、転落防止柵、網戸、ドアストッパー等


 上記の基準を満たしていれば軍検を通過できる可能性は高いですが、上記はあくまでも軍検における最低基準を示したものであり、現状では外人住宅の供給数も増えているため、軍検通過後すぐに入居してもらうためには、他の物件との差別化が必要になってきます。

 例えば、「海が見える」「庭が広くてBBQができる」などといったプラス要因があれば、安定して入居者を確保できることが想定されます。

 ※なお、弊社は「軍検登録業者」ではないため、実際にベースハウジングへ軍検申請を行う際には、連携する専門業者様を無償でご紹介させていただきます。



③    外人住宅(米賃)のメリット&デメリット、売買時の注意点!


 前述の通り、様々な特徴のある「外人住宅投資(米賃)」ですが、不動産の活用手段として運用する際の代表的なメリットとデメリットについてまとめておきます。


【外人住宅運営のメリット】


 ・家賃設定が日本人に賃貸するよりも高く設定できる

  ※物件によりますが、1.2~2倍程度がひとつの目安となります。

 ・家賃の滞納の心配がない(米軍の家賃補助が充実しているため)

 

【外人住宅運営のデメリット】


 ・多額の初期費用が必要となる

  ※軍検に合格するために必要となる設備投資費用など

 ・急な退去が多く、長期で入居してくれるケースが少ない

  ※軍人の異動のタイミング(2年周期が多い)で急な退去が発生する

 ・米軍の意向や政治的要因に経営が左右されやすい

  ※基地の返還や在日軍人数の増減による影響を大きく受ける



 また、収益物件として外人住宅(米賃)を売買する際には、下記の点を十分に精査した上で判断を行う必要があります。


【外人住宅(米賃)の売買時における注意点】


①    利回りが適正であるかどうかの確認


 →外人住宅は、ハイリスクハイリターン投資に分類されるため、他の収益物件よりも「表面利回り」は高くなることが一般的です。万が一のリスクに備えて、日本人に貸す場合の賃料相場についても把握しておくことをお勧めします。


②    賃借人の入居時期の確認


 →前述の通り、一般的には2年周期で退去することが多いので、例えば購入検討物件が入居から1年半経過している場合は、購入後すぐに退去してしまう可能性があることも視野に入れておく必要があります。反対に、2年以上入居が続いている場合は、本人の希望でそこに留まっている(在留延長申請をしている)可能性があるため、以後も暫く賃貸関係が続くことも考えられます。


③    金融機関の担保評価の確認


 →外人住宅投資は米軍ありきで収益性を上昇させるという「裏技的投資術」ゆえに、金融機関の融資基準が厳しいことでも知られています。現金で購入する場合においても、購入時には直接影響しませんが、将来的に売り抜ける際の「出口戦略」において、融資利用の買主が十分な担保評価を得られずに売却に苦戦するケースも多いため、銀行から見た物件の評価基準についても把握しておくのが良策と言えます。


 上記のような注意点を踏まえた上で、外人住宅(米賃)投資を実際に行うかどうかを判断されることをお勧めします。弊社では、沖縄で外人住宅運営を検討する方へ向けたアドバイスや他の有効活用手法との比較検証、外人住宅を投資物件として売買する際のサポート業務を行っております。


 外人住宅投資をこれから始めようか検討中の方や、外人住宅の売却を希望される方は、まずはお気軽にご相談をいただけましたら幸いです。







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