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沖縄がハワイを超えるための3つの起爆剤について~北部テーマパーク(ジャングリア)・大那覇空港構想・宿泊税(観光目的税)導入~

 今回は、沖縄が観光地として、ハワイを超えるために必要となる3つの起爆剤についてピックアップいたしました。


 さて、沖縄は「東洋のハワイ」と例えられることもあり、ハワイと沖縄には多くの共通点が存在します。島の面積こそハワイの方が圧倒的に大きい(沖縄:約2,281㎢<ハワイ:約16,634㎢)ですが、どちらも美しい自然環境や豊富な特産品に恵まれ、人口(共に約140万人台)や島の数(沖縄160≧ハワイ132)、平均気温(沖縄約23度≦ハワイ約25度)、コロナ前の年間観光客数(共に約1,000万人)など、非常に似通った部分が多いのです。


 まさに観光地として世界トップクラスの魅力を持つ沖縄とハワイですが、沖縄がハワイに大きく引き離されてしまっている要素が2つあります。それは、観光客の『平均滞在日数』と『平均消費額』です。


 平均滞在日数は、沖縄が約3.78日に対して、ハワイは約8.95日であり、平均消費額は、沖縄が約7.5万円に対して、ハワイは約19.6万円と、どちらも倍以上の差が開いています。平均消費額を平均滞在日数で割ると、一日あたりの消費額はどちらも2万円前後の試算になりますので、滞在日数の短さによって、沖縄が約7,000億円、ハワイは約1.9兆円という具合で、年間観光収入で大差を付けられている結果となっています。


 沖縄はハワイに比べて地理的なメリットもあり、ダイビングやサーフィンをする方々から話を聞いても、沖縄の海の美しさは決してハワイに負けていないということをよく耳にしますので、本来はハワイを超えるポテンシャルを持ち合わせているのですが、ハワイはバカンスとして「ハワイの雰囲気」をゆっくり楽しみに来る観光客が多いのに対して、沖縄は「綺麗な海」を見に来ることを目的にした観光客の割合がまだまだ多いことが、滞在日数の差に繋がっているものと考えられています。


 言うなれば、ハワイにあって沖縄になかったものは、「観光地としてのブランド戦略」に他なりません。つまり、沖縄のブランド力強化を上手く成し遂げることができれば、沖縄がハワイを抜いて、世界No.1の南国リゾート地となることも可能なので、きっと沖縄の経済発展にも大きな効果をもたらすことでしょう。


 現段階において、そのための起爆剤となる3大要素は、「①北部テーマパーク(ジャングリア)の開業」「②大那覇空港構想(国際リゾート・ビジネス空港化計画)」「③宿泊税(観光目的税)の導入・活用」であると考えられますので、内容を簡単に解説していきます。


◆ 起爆剤①「北部テーマパーク(ジャングリア)の開業」


 皆さんご存じの方も多いと思いますが、沖縄県は2022年に「株式会社刀(かたな)」と提携協定を締結し、沖縄のブランド変革のためのパートナーに同社を指定しています。代表取締役の森岡毅氏は、まさにマーケティングやブランド戦略のプロフェッショナルで、大阪のUSJや神戸のネスタリゾートの急激なV字回復、西武園ゆうえんちのリニューアルオープンなど多くの実績を持ち、「マーケティングとエンターテイメントで日本を元気に」というスローガンのもと、地域創生にも力を入れてくださっています。刀社は、従前から沖縄の魅力やポテンシャルに高い評価をしていただいており、現在は2025年開業目標の沖縄北部テーマパーク事業に着手しています。


 北部テーマパークは、今帰仁村と名護市にまたがる「オリオン嵐山ゴルフ倶楽部」の跡地に計画されており、計画では約56万㎡の広さのテーマパークになる予定です。前述のUSJが約54万㎡、ディズニーランドが約51万㎡、ディズニーシーが約49万㎡なので、日本を代表する巨大テーマパークの一員として仲間入りすることになります。2023年11月に名前が発表され、「ジャングリア(JUNGLIA)」に決定し、「やんばるの自然」×「リアル体験」をテーマとした総事業費700億円のビッグプロジェクトとなっています。


 天才的マーケターの森岡氏が手掛けるテーマパークの開業は沖縄の観光産業全体に大きなインパクトを与えることは必至であり、北部のインフラ整備や観光客の宿泊日数増加にも直接的な影響が出てくることはまず間違いがないでしょう。実際に、テーマパーク周辺の地価は既に大きく上昇しており、北部の土地情報を求める事業者も増加傾向にあります。



◆ 起爆剤②「大那覇空港構想(那覇空港の国際リゾート・ビジネス空港化)」


 那覇空港は、コロナ禍の2020年に沖合約160ヘクタールを埋め立てた第2滑走路の供用を開始しています。これによって、安定的に運用できる年間発着回数は、従前の約13.5万回から1.8倍の約24万回に増える見通しとなっていますので、アフターコロナのインバウンド需要の回復にも十分に対応できるものと考えられています。


 これに加えて、県内36団体から構成される「那覇空港拡張整備促進連盟」は、滑走路増設事業に続く「大那覇空港構想」を掲げており、国や県へ積極的な要請活動を行っています。これは、第1滑走路と第2滑走路の間を埋め立てて、新たな複合ターミナル施設を建設する構想で、「世界最高水準の国際リゾート・ビジネス空港」としての機能を確立することを目指すものです。


 かつて、アジア屈指の指導者として手腕を振るい「シンガポール建国の父」と呼ばれたリー・クアンユー氏は、「島国の経済レベルは、その国の港湾や空港のレベルを超えることはできない」との発言を残しており、世界一の空港と名高い「チャンギ国際空港」の建設によって、シンガポールは大きな経済発展を遂げた実例があります。


 那覇空港にホテルやショッピングモールを併設、更には那覇軍港跡地も上手く有効活用し、陸・海とのシームレスな移動を可能にすることで交通利便性の向上を図り、都市としての魅力の底上げにも繋がることが期待されています。



◆ 起爆剤③「宿泊税(観光目的税)の導入と活用」


 さて、観光収入で沖縄を大きく上回るハワイですが、ハワイも元々は観光地としてここまでの集客ができるような都市だった訳ではありません。1960年代に、アメリカが国策として観光産業を伸ばしていくべく、ハワイのポテンシャルに目を付け、莫大な資本と知恵を投じて、世界有数のリゾート地としての地位を不動のものにしていったのです。


 つまり、ハワイが観光業で成功した背景には、賢人達の「戦略」と「投資」があったのですが、今までの沖縄にはこの2点が不足していたと言われています。まずは、沖縄の向かうべき方向性や戦略を固めた上で、その実現に向けて着実に投資をしていくことが重要となりますが、そのためには財源の確保が必要となってきます。


 ここで鍵になるのが、現在沖縄県でも2026年から導入を検討している宿泊税(観光目的税)です。宿泊税は、ホテルなどの宿泊施設を利用する際に徴収する税金であり、その導入には賛否が分かれていますが、徴収した税金は観光振興の目的に利用されるので、きちんと計画を立てて正しく使用し、それが観光客の満足度の向上に繋がるのであれば、沖縄の観光産業にとっても良い効果をもたらせてくれるものになり得ます。


 個人的には、集まった宿泊税を利用して、都市の無電柱化と交通インフラの整備をより迅速に進めていくべきと感じています。無電柱化は沖縄の美しい景色がより魅力的になると同時に、台風の対策にもなり、これらが沖縄で社会問題化している停電の防止と渋滞の解消にも繋がります。


 前述の通り、沖縄はハワイとの共通点が非常に多いですが、単にハワイの真似をするのではなく、沖縄の文化や自然を大切にしながら、沖縄ならではの観光戦略やブランディングを図り、沖縄独自の魅力をより高めていって欲しいものです。


 上記3つの起爆剤『北部テーマパーク(ジャングリア)、大那覇空港構想、宿泊税(観光目的税)』を中心に、沖縄の観光産業が今後益々発展し、ハワイに負けない素晴らしい経済効果をもたらしてくれることを心より願っています。


 みなさんで一緒にぜひ沖縄を盛り上げていきましょう!




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