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相続や離婚によって共有状態にある沖縄の不動産の売却と持分買取について

「共有状態の不動産は売却しづらい」という格言を聞かれたことのある方は多いことと思います。これは事実でもあり、少し誤解の生じる可能性のある表現かもしれません。


 共有状態にある不動産においても、共有者全員の関係性が良好で、不動産の処分方法に関する意思が統一されている状況においては、問題なく全員の持分を同時売却することが可能であり、実際に弊社でも数多くの共有不動産の同時売買の仲介やコンサルティングに携わってきました。


 このように、いわゆる「円満共有状態」にある不動産であれば、当事者が多いという手続き上の煩雑性を除けば、取引を進める上で大きな弊害はないのですが、問題は「不和共有状態」に陥った不動産です。共有者同士の仲が悪く直接話ができない場合や、所有する不動産の将来的な方針について意見が真っ向から対立している場合は、不動産がいわゆる「塩漬け状態」になってしまいます。


 このようなケースが多いことに加えて、実際には「円満共有状態」が、いつ何をきっかけにして「不和共有状態」に変わってしまうかも分からないことから、冒頭の「共有状態の不動産は売却しづらい」という通説が、世に知られているということになります。


 弊社の見解としても、不動産の共有状態はできる限り避けた方が良いと考えております。その理由と対応策について記述いたします。


縁を切る



・相続や住宅購入時において不動産を共有状態で持つことのリスクについて


 不動産が共有状態となる理由は様々ですが、その中でも圧倒的に高い割合を占めている要因は「相続の発生」と「夫婦での住宅購入」です。相続において、親が保有していた不動産を兄弟姉妹で共有にして相続するケースと、住宅購入の際に夫婦の収入を合算して住宅ローンを組んでいるケースです。

 

 これらのケースにおいて、永久的に「円満共有状態」を保つことができれば、大きな問題はないのですが、一人でも不和状態(や音信不通)の共有者が現れた時に不動産を自由に処分することが難しくなってしまいます。これは、民法によって共有状態の不動産に対して行える行為の制限が定められていることによります。


 共有不動産の取扱いについては、2023年4月1日に若干のルール変更がありましたが、各共有者が単独で行うことができるのは、不動産の保存行為(共有物の修繕や不法占拠者への明渡請求)に限られます。軽微な修繕や改修・賃貸などは、共有者の持分(価格)の過半数で決断することができますが、不動産の大規模改修や売却については、共有者全員の合意が必要とされます。そのため、一人でも意見が合わない共有者がいると、不動産の処分(売却)はできないことになります。




・沖縄に共有持分問題を抱える不動産が多い理由について~低所得と離婚率~


 沖縄で共有状態の不動産が発生しやすい理由としては、「所得の低さ」と「離婚率の高さ」が影響していることが考えられます。まず、所得の低さについては、沖縄は長きにわたり全国で一番平均年収が少ないことで知られています。生涯収入が少ないと、多額の現金や金融資産を相続人に残すことは難しくなります。そうすると、相続財産は、元々所有していた不動産のみとなるケースが多くなります。こういったケースで、相続人が複数存在する場合、一つの不動産を相続人全員で相続するという選択肢が安易に採用されてしまう傾向にあります。沖縄は兄弟姉妹の数が多い傾向がありますので、一度共有状態になると、他県よりも複雑化しやすいため、持分買取や売却の調整は難しくなりやすいのが特徴です。


 「沖縄では長男が財産を全て相続するのではないか」という声も一定数ありますので、念のため少し触れておきます。沖縄の相続においては、確かに、「長男承継」の伝統というものがあり、全ての財産を長男が引き継いでいくという文化がありました。このしきたりにより、「相続」が「争族」に発展してしまうケースも稀に見かけますが、伝統と法律はルールがまるで違います。遺言を残す人は10人に1人とも言われている中、有効な遺言が存在しない場合は、伝統ではなく法律が優先されますので、長男以外の兄弟姉妹は全員平等に相続を受ける権利がありますし、長男承継を示す旨の遺言が存在した場合も「遺留分」を行使することによって、一定の財産を相続する権利は担保されます。


 もうひとつ共有状態を発生させる要因が、住宅を夫婦で共同購入するケースです。住宅ローンの利用において、夫婦の年収を合算することができるため、所得の低い沖縄では特に利用されることが多い手法です。それぞれの名義で「住宅ローン控除」や「団体信用生命保険」が利用できる点などメリットも多くあるのですが、万が一、夫婦が離婚してしまった場合は、住宅ローンの返済は続く中、共有状態の不動産をどちらが利用するのか、どのように処分していくのかという、解決することが非常に難しい問題に直面することになります。


 住宅を購入してもらうために、このリスクをしっかりと説明しない不動産会社も一定数存在しますので要注意ですが、もうひとつの注意点は、離婚率全国1位の沖縄において、離婚は決して「万が一」ではないということです。例えば、2023年における沖縄県の年間婚姻件数は7,453件ですが、離婚件数は3,270件となっており、結婚している数に対する年間件数比率は43.87%を占めています。割合から単純に計算すると、夫婦2~3組に一組は離婚するという計算になるのです。




・よくある共有持分の売却&買取依頼のケーススタディ


<CASE①>亡きお父様の再婚相手の息子様と共有状態の不動産


お父様から相続された不動産。元々は父親の再婚相手と共有になっておりましたが、再婚相手が先に他界し、その再婚相手の息子様が居住中。

お父様の葬儀以来は疎遠になっており、話が進まないので売却したいというご相談。


<CASE②>亡きお⺟様名義のご実家(兄弟2名で遺産分割協議が未了)


お⺟様名義のご実家。お⺟様が亡くなった後もずっと空き家状態が続いていました。

相続⼈であるご兄弟2人で、不動産をどうするかについて、何度か話し合いをされましたが、そのまま残しておきたい兄と、売りたい弟で意⾒が折り合わない状況でした。

弟様からご売却の相談を受け、法定相続分での相続登記の後、持分2分の1を売却したいというご相談の依頼。


<CASE③>元夫と共有状態になっている不動産の売却


数年前に離婚した元夫と共有状態になっている分譲マンション。

直接連絡を取り合うこともできない関係性になってしまい、不動産の処分についても協議することもできない状態で、奥様の持ち分だけを処分したいというご依頼。


 弊社では、上記のような状態の不動産の持分のみの買い取り、または、第三者への売却支援を行っていますので、一人で悩まずにまずはお気軽にご相談ください。


 本記事では、共有状態のリスクと、共有不動産を売却する際の注意点について解説致しましたが、一番理想的なのは、前述の通り、共有状態で不動産を保有しないことです。まずはこれを意識して頂くことが重要です。


 例えば、相続時において、不動産を共有名義にせずに不動産を売却して兄弟で売却代金を分配する「換価分割」や、相続人のうち一人が不動産を相続する代わりに他の固有財産を他の兄弟に提供する「代償相続」など、共有を避けるための選択肢はいくつも存在します。迷ったときは信頼のできる不動産や相続の専門家に相談してみてください。


 そして、どうしても共有状態の不動産を処分しなくてはならない状態になってしまった場合は、共有不動産の取扱いに関するノウハウのある不動産会社へ、お早めにご相談をされることをおすすめします。単独所有権の不動産の売却価格よりは低くなってしまいますが、トラブルを回避した上で安心した取引を進めることが可能です。







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