みなさん、不動産の任意売却という言葉をお聞きになられたことはありますでしょうか?本記事では任意売却の具体的な進め方や実務上の注意点に加えて、よく耳にする「競売」との違いや、沖縄の金融機関との交渉代行等について解説いたします。
実際に任意売却の活用を検討されている方は、決断が遅れると利用できなくなってしまう場合もありますので、まずはご一読いただき、お早めの対策をお勧めいたします。
◆ 不動産の任意売却とは・・・
漠然と「任意売却」というワードだけを見ても、なかなか意味が分かりづらいかもしれません。不動産を「任意」に「売却する」のは極めて一般的なことであり、通常の不動産売却と何が違うのかイメージが難しいと思いますが、結論から申し上げると、任意売却と通常の不動産売却では、取引の流れ自体はそこまで大きく変わりません。
いうなれば、任意売却は債務の返済が滞った上に、不動産の想定売却代金よりも借入金の残債額の方が大きい状態においても、通常の不動産売却ができるように調整していく手続きと捉えて頂くと分かりやすいかもしれません。
それでは、通常の不動産売却ができないケースとは、何を意味するかというと「競売」です。競売とは債権者である金融機関などによって、裁判所にその請求がなされることによって、抵当権を設定していた不動産を「強制的」に「売却させられる」ことを言います。
つまり、競売によって、不動産を「強制的」に「売却させられる」ことを回避して、一般市場において「任意」に「売却する」ための行為です。
もう少し専門的な言い回しで、任意売却の「概念」を説明すると、
「売買価格よりも残債務額の方が多い不動産において、抵当権等を設定している債権者(金融機関)および利害関係者に対して、不動産売却金の配分を行うことによって、抵当権や差押登記等を解除してもらい、債務者(所有者)である売主と第三者である買主との間における売買契約を成立させる」手続きということになります。
◆ 任意売却のメリット・競売との違いについて
任意売却には、競売と比較した場合に下記のようなメリットを享受できることが多いのが特徴です。
①競売よりも高く売れることが多い
例)債務総額:2,000万
競売相場:1,000万(市場価格の60~70%程度)
任意売却:1,500万(市場価格での売却が可能)
②競売より短期間で売れることが多い
・競売開始:一般的に開札日まで、半年〜8ヶ月の期間を要す。
・任意売却:債権者や購入者が合意すれば特殊な手続き不要。
③引越し代がもらえる可能性がある
金融機関が売却代金から引越し代金の配分を認めてくれるケースがあります。
競売の場合は落札者次第となりますが、強制執行されると立ち退き料は出ません。
④残債務の交渉の話し合いに応じてもらいやすくなる
債権者にとっても競売よりも任意売却の方がメリットがあるケースが多いので、早期に売却を決断すれば、良好な関係を維持できるため、条件交渉もしやすい傾向にあります。
⑤周りに知られずに売却できる
競売になると世界中から閲覧可能で、場合によっては競売代行業者が近隣の住民向けにチラシを作って配布することもあるのに対して、任意売却の場合は、債務者が自ら口外しない限り、債務不履行状態になった事実が第三者に分かることは少なくなります。
※但し、区分マンション等の場合は、管理費の滞納で周知の事実となってしまうケースがあります。
⑥自発的に売却することにより精神的な負担が軽減される
競売によって家を無理やり取られたというマイナスのイメージが少なく、自発的に売却したという思いから、債務者の精神衛生上にも優位に働くことが多いです。
◆ 競売手続きの流れと任意売却の進め方について
任意売却の進め方について最も大事なことは、いかに早く任意売却を行う決断をするかという点です。具体的には、そのまま放っておいたら競売に進んでいく状況から、任意売却に切り替えるタイミングを絶対に見逃さないことです。
競売へと進んでいくスタートラインは、債務の返済の滞納から始まります。金融機関にもよりますが、一般的な住宅ローン等の場合、3~6カ月程度返済が滞ると銀行が債権回収に向けた本格的な手続きを進めていくことになり、その後は概ね下記の流れに沿って、裁判所や落札者も介入して運びとなります。※当然1~2カ月の滞納が許されるという訳ではありませんのでご承知おきください。
~競売までの流れ~
・滞納(3〜6ヶ月)
↓
・期限の利益喪失(1〜2ヶ月)
↓
・代位弁済、一括請求(1〜2ヶ月)
↓
・差押え、競売開始決定(1〜3ヶ月)
↓
・配当要求終期の公告(1週間)
↓
・執行官等現地調査(1〜3ヶ月)
↓
・期間入札の公告(1週間)
↓
・期間入札の実施(1週間)
↓
・開札期日(1週間)
↓
・売却許可決定期日(2日〜1週間)
↓
・代金納付期限通知書送達(1週間)
↓
・代金納付期限日、所有権移転(1ヶ月)
↓
・配当期日、明渡し
↓
※明け渡さない場合は、引渡命令申立て→強制執行催告→強制執行断行の順で手続き。
任意売却へ進むポイントとして理想的なのは、滞納が発生し始め、返済が難しいと判断される状況に陥ったタイミングで、可能な限り早く具体的な対策を取ることです。
滞納が続くと、「ローン返済についてのご連絡」「催促状」「最終通告書」などといった書面が次々と送られてきますが、その後の「差し押さえ」「競売開始決定」がなされる前の、遅くとも「最終通告書」が届く頃には、任意売却について相談を進めた方が良いです。
◆ 沖縄の金融機関との交渉方法と注意点について
銀行にも色々な種類があり、窓口の存在しないネットバンクから、沖縄に店舗のある地方銀行や信用金庫などケースバイケースで、債権者は多岐に亘りますが、それぞれの金融機関によって、滞納者への対応や任意売却に対する考え方も異なります。
任意売却についての交渉を進めるにあたり、最初に誰に相談し、どのような手順で話を進めていったら良いのか分からない方も多いと思います。有力な相談先としては、不動産会社、弁護士、銀行担当者の3つが考えられます。
不動産会社は、任意売却の手続きにおいて、通常は必須の存在になるので、最初に相談する窓口としてもおすすめです。理由としては、対象となる不動産の調査や査定などができることに加えて、任意売却にも対応している不動産会社であれば、弁護士などの専門家や金融機関とのやり取りにも精通しているため、全体を上手くコントロールして手続きを進めることが可能であるためです。
弁護士は高額な費用がかかるのがネックですが、不動産の売却後もなお残債が残る場合において、資産の任意整理や自己破産などの手続きをサポートしてくれます。また、法律に関する様々な相談ができるため、安心して任意売却を進めることができます。
銀行担当者については、最終的に任意売却の可否を判断する銀行側の立場であるため、必ず相談をしなければならない相手になります。一日も早く意向を伝えるという意味では、最初の相談相手とするのも良いですが、不動産の相場や任意売却の流れが全く分からない場合は、銀行との交渉をサポートしてくれる不動産会社や弁護士に同行してもらうことで話が上手く進むことも多いです。
今回取り上げた「任意売却」のようなプライバシー性の高い事案は、相談に踏み切る際に相当な覚悟がいるものです。ただ、この覚悟が遅れることによって、競売へと進んでしまうことで社会的にも財政的にも不利な状況になってしまうケースも散見されます。
お客様のプライバシーを最大限尊重した上で、債権者との調整を図り、不動産価値を最大化するためのサポートをさせて頂きますので、まずはお早めのご相談を心よりお待ちしています。
琉球不動産コンサルティング株式会社
TEL:098-916-6653
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