top of page

【沖縄の軍用地投資分析】③都市型軍用地として高い人気を誇る「那覇軍港」と「那覇空港用地」の特徴について

  • 輿石竜馬
  • 4月26日
  • 読了時間: 5分

 これまで「キャンプレスター」「嘉手納飛行場」といった沖縄中部エリアの主要基地の投資動向を分析してきましたが、第3回目となる今回は、沖縄本島南部に位置する「那覇軍港」と「那覇空港用地」に焦点を当てて特徴を分析していきます。これらのエリアは、他の軍用地とは異なる「都市型軍用地」という特性を持っており、軍用地としては少し異質な立ち位置にありながら、非常に高い人気と注目を集めています。


 特に那覇軍港は将来的な移設計画が進んでいることもあり、投資家の間では「返還期待」が現実味を帯びた話題として語られています。



■ 那覇軍港・那覇空港用地の概要



まずはそれぞれの施設について簡単におさらいしておきましょう。


・那覇軍港


 那覇市の西部(垣花町、住吉町)の地域にまたがる米海軍施設で、海上輸送の拠点として使用されています。面積は約56ヘクタールあり、周囲は商業エリアや住宅街に囲まれており、那覇の中心地に位置する非常に希少なロケーションに軍用地です。


 現在、那覇軍港は2020年代後半を目処に、浦添市西海岸への移設計画が進められています。これは1970年代から続く長年の懸案事項であり、幾度に亘る協議が重ねられてきましたが、2024年にはサンエー浦添西海岸パルコシティ近隣で、具体的な埋立て工事も開始され、返還に向けた動きがいよいよ現実味を帯びてきている状況です。



・那覇空港用地(自衛隊区域)


 一方、那覇空港は民間空港としても有名ですが、その一部には航空自衛隊が使用する軍用地(那覇基地)も含まれています。沖縄の玄関口であり、ゆいレールの起点でもあるため、当然ながら立地は他の軍用地と比較しても頭一つ抜けています。

 

 このエリアは返還予定がなく、引き続き戦略拠点として使用される見込みです。空港の拡張整備が進む中で、自衛隊エリアも航空運用上の重要性を増しており、今後も継続使用される可能性が高いとされています。



■ 人気の理由①:圧倒的な「立地」の良さ



 那覇軍港・那覇空港用地ともに、那覇市中心部に近接していることが最大の魅力です。一般に、軍用地の多くは郊外や山間部にあり、返還後の開発にも制限がつきやすい傾向があります。


 しかし、この2施設は那覇市街地の中核部に位置し、商業地・観光地・住宅地と隣接していることから、返還後の再開発ポテンシャルが非常に高いと評価されています。


 特に那覇軍港は、返還後にはウォーターフロントを活用した観光・商業複合施設や高級住宅街としての開発構想も噂されており、地元経済界からも強い関心が寄せられています。



■ 人気の理由②:地代収入の高さ



 那覇軍港や那覇空港の用地は、年間地代単価が非常に高いことでも知られています。これは、地価が高い都市部に位置していることに加え、利用頻度や施設の密集度が高く、国側が支払う地代もそれに比例して高額になっているからです。


 そのため、投資家目線では「高値であっても安定した資産運用ができる」稀有な軍用地として評価されています。地代倍率は55倍前後と非常に高く(利回りが低く)、中には60倍を超える売出物件も存在します。嘉手納飛行場やキャンプレスターより高い倍率で取引されることも多いです。



■ 「移設予定」の有無が那覇軍港と那覇空港用地の大きな違い



 ここで重要なのが、那覇軍港には移設計画があるが、那覇空港には現在のところ全く予定がないという点です。この違いは、投資戦略に大きな影響を与えます。


・那覇軍港の移設計画


 那覇軍港は浦添市の西海岸に新設される軍港への移設が2020年代中盤から進行中で、2030年代には現在の那覇の土地が返還される見込みです。これは軍用地としては珍しいケースであり、「返還による土地の自由利用」が可能になるという点で、キャピタルゲインを狙う投資家にとって非常に魅力的な選択肢です。


 一方で、返還時期のズレや、返還後の利用方法に制限がかかる可能性もあるため、「返還=即開発」となる保障はない点には留意が必要です。


・那覇空港用地の継続利用


 反対に、那覇空港(自衛隊区域)については、今後も返還の見込みがほぼないとされており、投資対象としては「インカムゲイン(地代収入)狙い」の長期保有型に適しています。したがって、売却益を狙うよりも、安定収入と相続対策を重視した投資家に向いている軍用地といえます。


 このように、那覇軍港と那覇空港用地は、同じ那覇市に位置する軍用地でありながら、投資スタイルに大きな違いがあります。この住み分けを正しく理解した上で、自身の資産運用方針に合った投資先を選ぶことが成功の鍵となります。



■ 今後の展望と注目ポイント



 那覇軍港の移設に関しては、現在進行中の浦添埋立事業や港湾整備との整合性も重要なポイントです。また、今後の那覇市の都市開発戦略の内容次第では、返還後の土地価値がさらに高騰する可能性も否定できません。


 一方の那覇空港用地は、航空インフラの重要拠点としての役割を今後も担い続ける見通しであり、政治や国際情勢の変化にも強い投資対象として位置づけられています。特にインフレヘッジ資産や法人の資産分散先として、今後も根強い人気を維持することが予想されます。



■ まとめ



 那覇軍港と那覇空港用地は、いずれも軍用地投資の中で「恵まれた立地」と「非常に高い資産価値」を兼ね備えた注目エリアです。特に那覇軍港については、移設と返還の現実味が高まる中で、今後さらに投資家の関心が集まることは間違いないでしょう。


 「安定収入を求めるか」「将来の値上がりを狙うか」。


 この2つの選択肢を明確に意識しながら、それぞれの軍用地の特性を理解した投資戦略が求められます。那覇の軍用地投資にご興味のある方はお気軽にご相談ください。







琉球不動産コンサルティングロゴ
琉球不動産コンサルティングLINEロゴ
琉球不動産コンサルティングインスタロゴ





bottom of page