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【沖縄の軍用地投資分析】⑥返還された軍用地が再開発・区画整理を経て一等地に変貌した成功事例を検証(新都心・ハンビー・伊平・ライカムエリア)

  • 輿石竜馬
  • 5月31日
  • 読了時間: 7分

更新日:5月31日


 沖縄の軍用地投資における大きな魅力の一つとして挙げられるのが、「返還後の再開発による地価上昇」と、それに伴うキャピタルゲインです。通常、軍用地は安定収入型のインカムゲイン投資として認識されることが多いですが、返還後の再開発や区画整理による計画次第では、大きなリターンをもたらす資産へと変貌するケースも少なくありません。本稿では、実際に返還された軍用地の中でも、成功事例として認識されている、新都心、ハンビータウン、伊平、ライカムエリアにスポットを当て、どのようにして県内一等地への変貌を遂げたのか、投資家にどのような利益をもたらしてきたのかについて掘り下げていきます。



■ 返還後の再開発や区画整理で一等地へ変貌した代表的な成功事例について



那覇新都心エリア


1.那覇新都心エリア(旧・那覇軍港・宿舎地区)


 かつて那覇市おもろまち周辺に広がっていた米軍施設は、1990年代に段階的に返還され、現在では「那覇新都心」として見事に再開発されました。


 沖縄県内では初めて本格的な都市再開発が行われた事例としても有名であり、サンエーが手掛ける那覇メインプレイスやDFS(Tギャラリア)、リウボウ、沖縄県立博物館・美術館などの大型商業・文化施設が集積しています。


 近年では、高層マンションや医療・教育機関も立地する利便性の高い地域へと生まれ変わっており、現在も数多くのマンションや商業ビルが建築中です。


 那覇軍港宿舎が返還される前までは、那覇の中心地といえば官庁が集まる「松尾」「久茂地」「泉崎」エリア一強という印象でしたが、返還後の再開発が大成功したこともあり、現在では「おもろまち」「天久」「銘苅」といった新都心エリアに、住居も商業も需要が高まっている傾向にあります。これは、再開発によって計画的に道路や公園、駐車場などが整備された街並みを好む人が多いことが要因であるに違いありません。



● 投資家にとってのメリット


• 返還前の地価に比べて数倍〜10倍近くにまで上昇した例も

• 区画整理による交通利便性・生活利便性の向上

• 都市計画による用途変更で、商業と住宅利用が併存する街に


 今では地価が県内屈指の高さを誇っているため、早期から投資していた地主や投資家は、非常に大きなリターンを得ることができた代表例ともいえます。




2.北谷町・ハンビータウン(キャンプ桑江跡地の一部)


 かつて米軍の家族向け住宅や施設が存在していたキャンプ桑江の南側エリアは、1990年代に返還され、現在では「ハンビータウン」として商業施設が立ち並ぶ一大観光・生活拠点へと変貌しました。


 沖縄で最も人気のあるビーチと言っても過言ではない「アラハビーチ」が目の前という恵まれた立地であることが特徴ですが、周辺にはアメリカンなカフェやバーが建ち並び、海外旅行に来たような雰囲気を味わうことができます。


 ハンビー地区の中心にはサンエーの複合施設があり、周辺にはホテルやレストラン、少し足を伸ばせばアメリカンビレッジへもアクセスできるため、住宅地としても非常に人気の高いエリアとなっています。



● 投資リターンの背景


• 観光需要と地元需要の融合による高い集積効果を実現

• 土地の用途変更により、住宅と商業が融合する街へ変化

• 民間主導による返還後のスピード感ある開発が実現


 地元の地主が保有し続けていた土地が、ホテル業者や不動産デベロッパーに高額で売却され、投資家が複数のフェーズで収益を上げることができた好例です。現在もマンション開発が相次いでいます。



3.伊平地区(キャンプ桑江北側)


 現在もキャンプ桑江の一部は米軍による使用が続いていますが、北側の伊平地区は2003年に返還され、住宅・商業複合の新興エリアとして発展を続けています。


 ハンビータウンやアメリカンビレッジなどの商業地エリアにも近く、北谷町役場や金融機関なども集約する地区となっており、立地の良さから分譲マンションや医療機関の進出も相次いでいます。


 このエリアは、桑江伊平区画整理事業に基づく換地処分や、地区計画で定めるゾーニングによって、計画的に整備された区画や道路で構成される整然とした街並みが人気を集めています。



● 再開発の特徴


• 土地利用の自由度が高く、住宅・商業のバランスが取れた開発

• 交通インフラの整備により、居住ニーズが急拡大

• 近隣の成功事例(ハンビータウン)による波及効果


 伊平地区の地価も返還時に比べて着実に上昇しており、元々所有していた地主や、初期に取得した投資家は、賃料収入と売却益の両面で恩恵を受けている状況です。このエリアはまだ売却を躊躇している地主がたくさんいることでも有名で、更地になっている土地も多いため、今後も発展を続けるポテンシャルを持ち合わせていると思います。



4.ライカムエリア(泡瀬ゴルフ場跡地)


 以前はアメリカが保有していた旧泡瀬ゴルフ場は、2000年代に米軍から返還され、その後の再開発により地価が急激に上昇したエリアのひとつです。


 元々は沖縄が占領された際に、このエリア(北中城村比嘉地区)に琉球米軍司令部が置かれたことが始まりで、この司令部が英語で「Ryukyu Command」という名称でしたが、略称で「Rycom」と呼ばれたことから、ライカムという地名が誕生することになりました。


 ゴルフ場が返還された後は、泡瀬土地区画整理事業が発足し、2015年に日本でも有数の規模を誇るショッピングモールである「イオンモール沖縄ライカム」が開業したことにより、急激に人が集まるようになりました。


 沖縄アリーナ(北中城村隣接地)との連携にもよって、都市全体が広域的なエンターテイメント・商業ゾーンへと発展中です。



● エリアの特徴とリターン要因


• 広大な土地を活かした大規模開発(イオンモール)

• 高速ICや中部広域からのアクセス性の高さ

• 地元自治体の強い再開発推進意欲


 現在も周辺の住宅開発やインフラ整備が続いており、将来性への期待が高いエリアです。長期的に保有する投資家にとっては、今後も地価上昇と需要増加による複利的なリターンが期待されています。



■ 沖縄の軍用地投資における返還後のリターン構造について



軍用地が返還された場合、投資家は下記のようなリターンを享受できることになります。


 ・キャピタルゲイン(売却益)

 ・地価の上昇による資産価値増加

 ・再開発計画公表時のプレミアムの発生

 ・都市計画(用途地域)変更による資産性向上

 ・賃料収入(インカムゲイン)の拡大

 ・テナント収入等による安定的なキャッシュフロー


 加えて、再開発による交通・生活インフラの整備、観光客の流入などによって、間接的に投資価値を押し上げる要因となります。


 

■ 返還予定軍用地の投資判断における注意点


 既に返還された軍用地や、これから返還予定の軍用地への投資は大きなチャンスを含む一方、以下のような注意点もあります:


・返還までのタイムラグの長期化

→ 計画があっても、返還完了まで10年単位の時間を要する場合がある。


・再開発計画の不確実性

→ 地権者間の合意形成ができずに開発が進まず、塩漬けとなるリスクも。


・周辺環境・アクセス性の見極め

→ 地価が上がるのはあくまで“使いやすい立地”であることが前提となる。


 返還前からの情報収集と、自治体・国の都市計画をしっかりと読み解く力が求められます。



■ まとめ:返還地の可能性は“投資の伸びしろ”


 今回取り上げた那覇新都心、ハンビータウン、伊平、ライカムエリアは、いずれも「返還 → 再開発 → 商業・住宅利用 → 地価上昇」という成功サイクルを経験してきた土地です。


 そしてその背景には、地元自治体の積極的な都市開発戦略、国の補助、民間企業の参入など、様々な要素が複雑に絡み合っています。


 軍用地投資は「守りの投資」として注目されがちですが、返還という転機が訪れた瞬間に突然「攻めの資産」へと変わる可能性も秘めています。その潜在力を見極めるためには、地元情報・政策動向・周辺の再開発事例など、多角的な視点が必要です。


 今後も返還が予定されている牧港補給地区やキャンプ桑江残存地、那覇軍港など、注目の再開発エリアが目白押しです。投資戦略の一環として、返還済み土地の“その後”に目を向けて分析することが、確度の高い判断に繋がる近道となります。








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